●●ラーメン男爵殺人事件●●
『今出雲くん現場の洋館へ戻るぞっ!』
古八田はイタリア製のベージュのトレンチコートに付いたベンチの木くずを振り落とすこともせず、ドイツ製のマウンテンバイク調の自転車に飛び乗り、少しきつめの向かい風の中走り去ってしまった。
今出雲はその古八田の行動に驚き、落とした手帳を拾いながら、
『古八田さっ〜ん!』
全く追いつかない様子で後を追い、駆け出した。
その頃日暮警部とコメン君は、洋館西側二階奥の執事の部屋で、よく使い込まれた暖炉の脇にある綺麗に整理された本棚の隙間からあるものを見つけた。
それは非常に古く、黄ばんだガーゼにくるまれた麺打ち棒のようなものだった。
その黄ばんだガーゼには、
『ルメソ…?』
日暮警部が、そのガーゼに鼻を近ずけ匂いを嗅ごうとする。
それを横から取り上げるように、コメン君が背中を向け匂いを嗅いだ。
『この間、寝ていたおじさんのネクタイと同じ匂いだよ…。』
時は同じ頃、関星空港には、まもなく到着するロパンと不三子を待つ次弁と右衛門の姿があった…。
〜ヒロシにつづく〜