ユウジ君ごめん!


じつは…昨日の昼間に貸し切りパーティーがありました。
ウエディングの二次会です。
お客様の人数は、さほど多くも無く、和気あいあいとした、いい感じのパーティーでした。
ただ問題と言うか、ドラムのユウジ君に謝らなくてはいけない事が出てきたのです。
それは…このパーティのメインの余興は新郎が加わったバンド演奏でした。
新郎がエレキギターを弾き、新郎の仲間がベース、ギター、ボーカルをつとめていました。
曲はロックで…あれドラムが居ない!
ドラムは全て打ち込みでした。
CDで流していました。
思い返せば、一昨日の夜中金曜日のライブが終わった後、あの噂のマネージャー公一がユウジ君に、『以前お話しましたが、明日の貸し切りパーティは、お客様のバンドが入るのですが、ドラムセットは入れ替えなくていいですか?』
その問いかけに、『やばい!買ったばかりの、俺のスケルトンドラムセットを守らなくては!』
急いで約一時半かけてドラムセットを入れ替え始めました。
シンバルをばらし、それはそれは丁寧に…まるで熟れに熟れている桃を扱うように、まるで生まれたての赤ちゃんを抱き上げるように…。
『じゃ明日夕方パーティ後に。』
そう言って去って行きました。
次の日、予告通りパーティ後に『おはようございます。』
元気な感じでの登場したユウジ君。
それに対し、あの噂のマネージャー公一も、男前リーダーユウキも、そして僕も心なしに目線をあわさず『あーざぃまーす…』
なぜか、小さな声での対応でした。
ユウジ君は、すぐにセッティングに取りかかりました。
昨日、ユウジ君がセットし、それから誰も触れもしていないお店のドラムセットをばらしています。
そして再びそれは大事そうに、国宝級のツボを取り扱うかのごとく、スケルトンドラムをまた約一時間かけてセッティングしています。
確かに、そのパーティの幹事様が『いきなりドラムの子が来れなくなって…すみません。』
と、当日に聞きましたが、そんなことユウジ君に言える訳がないじゃないですか!
額に汗をかいて、目をキラキラさせ、子供にラジコンカーを与えたような純粋なまなざしの彼に…。

時はいたずらに、その時を無理矢理割り込んで来ます。
きっかけはユウジ君からでした。
『今日のパーティで、なんかドラムが…』
『ごめんなさいっだっちゃ!』
マネージャー公一はいきなりのフリにいたたまれず[うる星やつら]のラムちゃん語が出てしまいました。
事情を説明すると快く、『いいよ、いいよ。』
と答え、マクドナルドのクーポン券を分かるように、わざとらしくポケットから落としたユウジ君でした。
『ユウジ君ごめんちゃいだっちゃ。けどマクドナルドでいいのか…。』